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有責配偶者からの離婚請求

有責配偶者からの離婚請求に関して、以下項目を解説しています。
・有責配偶者とは?
・離婚請求を認めた最高裁判例の要件
・別居期間に関する最高裁判例
・未成熟子に関する最高裁判例
・長期間別居でも棄却する例

有責配偶者とは?

”有責配偶者”とは、離婚に至る原因に対して、主として責任のある配偶者のことです。
”有責主義”の概念からは、有責配偶者からの離婚請求は認められませんが、”破綻主義”の概念からは、有責配偶者からの離婚請求も認められる余地があります。
これらの概念の詳細については、左記メニュー「有責主義と破綻主義の概念」を参照下さい。

離婚請求を認めた最高裁判例の要件

有責配偶者からの離婚請求を認めた最高裁判例の要件は、以下の通りです。
【最高裁判例(昭和62年9月2日)の要件】
@別居が相当長期に及んでいること
A未成熟子がいないこと
B相手方配偶者が離婚により精神的・社会的・経済的に苛酷な状態にならないこと
【未成熟子とは?】
経済的に自立できていない子のことで、成人年令に達しているか否かは関係しません。よって、未成年者であっても、就職等によって収入を得ている場合は、未成熟子に該当しません。

別居期間に関する最高裁判例

有責配偶者からの離婚請求において、別居期間が相当の長期間に及んだものとされた最高裁判例の要旨です。
【最高裁判例(平成2年11月8日)の要旨】
有責配偶者である夫からされた離婚請求において、夫が別居後の妻子の生活費を負担し、離婚請求について誠意があると認められる財産関係の清算の提案をしているなど判示の事情のあるときは、約八年の別居期間であっても、他に格別の事情のない限り、両当事者の年齢及び同居期間との対比において別居期間が相当の長期間に及んだと解すべきである。
《解説》
当判決では、8年間の別居で離婚が認められましたが、別居が何年なら”相当の長期間”になるという点については明示されませんでした。しかし、近年の裁判の傾向では、8年〜10年以上で離婚が認められるようです。

未成熟子に関する最高裁判例

未成熟子がいる有責配偶者からの離婚請求が認められた最高裁判例の要旨です。
【最高裁判例(平成6年2月8日)の要旨】
有責配偶者である夫からされた離婚請求であっても、別居が一三年余に及び、夫婦間の未成熟の子は三歳の時から一貫して妻の監護の下で育てられて間もなく高校を卒業する年齢に達していること、夫が別居後も妻に送金をして子の養育に無関心ではなかったこと、夫の妻に対する離婚に伴う経済的給付も実現が期待できることなど判示の事実関係の下においては、右離婚請求は、認容されるべきである。
《解説》
上記の【最高裁判例(昭和62年9月2日)の要件】では、未成熟子がいる場合は、離婚請求が認められないのが原則ですが、別居期間が長期であり、かつ、婚姻費用及び養育費の支払いが行われている場合は、離婚を認めるという判決です。

長期間別居でも棄却する例

長期間別居でも、以下の事由がある場合は、離婚請求が棄却される場合があります。
・別居中の養育費支払等について不誠実な事情がある場合
・離婚条件の提示内容に不安がある場合

 
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