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C強度の精神病

C強度の精神病に関して、以下項目を解説しています。
・強度の精神病とは?
・最高裁判例の裁判要旨
・強度の精神病の要件
・裁判で認められるか否か

強度の精神病とは?

”強度の精神病”とは、民法第770条に規定されている通り『配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。』の事です。

最高裁判例の裁判要旨

”強度の精神病”が争われた最高裁判例の裁判要旨は、以下の通りです。
【最高裁判例(昭和45年11月24日)裁判要旨】
妻が強度の精神病にかかり回復の見込みがない場合において、妻の実家が夫の支出をあてにしなければ療養費に事欠くような資産状態ではなく、他方、夫は、妻のため十分な療養費を支出できる程に生活に余裕がないにもかかわらず、過去の療養費については、妻の後見人である父との間で分割支払の示談をしてこれに従つて全部支払を完了し、将来の療養費についても可能な範囲の支払をなす意思のあることを裁判所の試みた和解において表明し、夫婦間の子をその出生当時から引き続き養育している等判示事情のあるときは、民法770条2項により離婚の請求を棄却すべき場合にはあたらない。
《解説》
本件では、医師の判断を前提として、婚姻生活における主婦の役割を果たすことの可能性について判断し、これについて困難との結論を出しています。
また、今後の療養看護について具体的方途が講じられているとして、民法第770条第2項により、離婚の請求を棄却すべき場合にはあたらないとして、離婚が認められました。

強度の精神病の要件

上記の最高裁判例により、”強度の精神病”として認められるためには、以下の要件を満たす必要があります。
・強度で回復の見込みのない精神病であること
・今後の療養看護について具体的方途が講じられていること

裁判で認められるか否か

裁判で認められるか否かについては、以下項目「裁判所が認める精神病」「療養看護の具体的方途」を検討する必要があります。

裁判所が認める精神病

裁判所が認める精神病は、深刻な精神疾患で、長期間の治療を行っても回復の見込みがない場合に限られます。
これらの事項を証明するために、医師の診断書や意見書などが必要です。
離婚原因になる精神病の例と、離婚原因に認められない病気の例を以下記載します。
【離婚原因になる精神病の例】
・統合失調症
・そううつ病など
【離婚原因に認められない病気の例】
・ノイローゼ
・ヒステリー
・アルコール依存症など
備考)
これらの病気の例の場合は、その程度によって、左記メニュー「D婚姻を継続し難い重大な事由」として検討する余地があります。

療養看護の具体的方途

療養看護の具体的方途として、離婚後の以下事項に対する見込みが具体的であることが必要です。
・医師の治療を受けてきて、これからも治療を受けられること
・費用面の不安がなく、十分な治療を受けられること
・生活を保障するだけの経済的な見込があること

 
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