HOME >> どんな場合に離婚できるか >> B生死が3年以上不明

B生死が3年以上不明

B生死が3年以上不明に関して、以下項目を解説しています。
・生死不明とは?
・生死不明の要件
・裁判で認められるか否か
・失踪宣言

生死不明とは?

”生死不明”とは、配偶者の一方が家を出たきり連絡が取れなくなった場合のことです。
家を出たきりでも、電話や手紙等にて連絡があった場合や、似た人を見たという目撃者がいる場合は、”行方不明”あつかいとなり離婚が認められません。

生死不明の要件

以下の要件を満たす場合は、離婚調停を飛ばして離婚訴訟を提起することができます。
・その生存を証明する最後の事実があったときから3年以上経過したとき
・その間連絡もなく、似た人を見たという目撃者がいないこと

裁判で認められるか否か

上記項目「生死不明の要件」を満たす場合は、当然に認められます。
ただし、離婚裁判では、生死不明であることを立証する必要があるため、以下の資料を準備する必要があります。
・警察の捜索願の受理証明書
・勤務先や知人などの陳述書

失踪宣言

離婚事由とは別に、民法では”失踪宣言”という制度があります。
(失踪の宣告)
第30条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、 それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。
《解説》
民法第30条第1項は、”通常失踪”、第30条第2項は、”特別失踪”と呼ばれています。
(失踪の宣告の効力)
第31条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。
《解説》
この宣言によって、生死不明者は、死んだものとして扱われるため、相続が開始されます。
(失踪の宣告の取消し)
第32条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
2 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。
《解説》
生死不明者が生存していた場合は、失踪宣言を取り消すことができます。
この取消し前に、生きていることを知らなかった者がした契約は有効ですが、失踪宣言によって財産を得た者は、残存利益の範囲内で返還義務が生じます。

【失踪宣言後の再婚】
失踪宣言は離婚事由ではないため、失踪宣言が取り消されると婚姻関係は復活します。そのため、失踪宣言後に再婚した場合は、その婚姻は重婚として婚姻の取消し事由となります。
よって、再婚の可能性がある場合は、失踪宣言より裁判離婚を利用した方が無難です。ただし、失踪宣言の場合は相続人となりますが、裁判離婚をした場合は相続人になりません。

 
inserted by FC2 system