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実子(嫡出子)

実子(嫡出子)に関して、以下項目を解説しています。
・第一節 実子(嫡出子)

第一節 実子(嫡出子)

第一節 実子では、以下の分類に対する条文があります。
第772条〜第778条:嫡出子に関連する条文
第779条〜第788条:認知に関連する条文
第790条〜第791条:子の氏に関連する条文

嫡出子に関連する条文は、以下の通りです。
第772条(嫡出の推定)
第773条(父を定めることを目的とする訴え)
第774条(嫡出の否認)
第775条(嫡出否認の訴え)
第776条(嫡出の承認)
第777条(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第778条(同上)
備考)
”嫡出子”とは、結婚している男女から生まれた子のことで、「出生届」によって夫婦の戸籍に実子として記載されます。
結婚及び離婚において、特にポイントとなる条文を以下解説します。

嫡出の推定

(嫡出の推定)
第772条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2 婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。
《解説》
第1項では、婚姻中に妻が妊娠した場合は、夫の子と”推定”する旨を定めています。母は出産の事実で特定しているという前提のもと、父は”推定”するとしています。”推定”とは、反証がなければ、一応そうであろうと判断する事で、具体的には、市町村役場に子の「出生届」を提出するのみで、父母の戸籍に記載され、実子と扱われます。
よって、たとえ妻の浮気による子であっても、婚姻中であれば夫の実子となります。
ただし、反証(推定を覆す証拠)があれば、家庭裁判所に”調停”の申立て、又は、”嫡出否認の訴え”によって否認できます。
第2項では、以下の場合は婚姻中に妊娠したものと”推定”し、その婚姻時の夫を父としています。
・「婚姻届」の提出日から200日を経過した後
・「離婚届」の提出日から300日以内に生まれた子
”生まれた日”については、「出生届」の提出時に添付する医師等が作成した「出生証明書」によって確認できます。そして、”生まれた日”が上記の期間内であれば、その婚姻時の夫を父と”推定”し、実子として戸籍に記載されます。

【民法の親族法の立法趣旨】
民法の親族法の立法趣旨は、”家族の平和と子の福祉”です。
この立法趣旨により、父子関係を早期に確立することに重点を置いているため、真実の父子関係でない場合があってもやむを得ないとしています。

父を定めることを目的とする訴え

(父を定めることを目的とする訴え)
第773条 第733条第1項の規定に違反して再婚をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。
(再婚禁止期間)
第733条 女は、前婚の解消又は取消しの日から六箇月を経過した後でなければ、再婚をすることができない。
《解説》
妻が離婚後の待機期間中に再婚して子が生まれ、前婚と後婚の夫と推定される場合に提起できる訴えです。

嫡出の否認

(嫡出の否認)
第774条 第772条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。
(嫡出否認の訴え)
第775条 前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。
親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。
《解説》
上記項目「嫡出の推定」において、その”推定”を覆したい場合は、”嫡出否認の訴え”によります。

嫡出の承認

(嫡出の承認)
第776条 夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。
《解説》
『嫡出であることを承認したとき』とは、”明確に否認権を放棄した場合に限る”と、解されています。
よって、「出生届」を提出しても、それは戸籍法の義務を遂行しただけであり、嫡出を承認した事にはなりません。

嫡出否認の訴えの出訴期間

(嫡出否認の訴えの出訴期間)
第777条 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から一年以内に提起しなければならない。
《解説》
上記の通りです。
民法の親族法の立法趣旨により、出訴期間の制限が定められています。

 
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