HOME >> 結婚と離婚の民法の規定 >> 扶養

扶養

扶養に関して、以下項目を解説しています。
・第七章 扶養

第七章 扶養

第七章 扶養では、以下の条文があります。
第877条(扶養義務者)
第878条(扶養の順位)
第879条(扶養の程度又は方法)
第880条(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第881条(扶養請求権の処分の禁止)

扶養義務者

(扶養義務者)
第877条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
2 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
3 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。
《解説》
第1項”直系血族”とは、自分の両親・祖父母などの上の者と、自分の子・孫などの下の者を意味します。
第2項”三親等内の親族”とは、自分の甥・姪や叔父・叔母までの親族を意味します。
扶養権利者と扶養義務者との間で、引取扶養や扶養料の支払いなどについて協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に”扶養請求”の調停、又は、審判の申立てをする事ができます。

扶養の順位

(扶養の順位)
第878条 扶養をする義務のある者が数人ある場合において、扶養をすべき者の順序について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、これを定める。扶養を受ける権利のある者が数人ある場合において、扶養義務者の資力がその全員を扶養するのに足りないときの扶養を受けるべき者の順序についても、同様とする。
《解説》
上記条文の通りです。

扶養の程度又は方法

(扶養の程度又は方法)
第879条 扶養の程度又は方法について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、扶養権利者の需要、扶養義務者の資力その他一切の事情を考慮して、家庭裁判所が、これを定める。
《解説》
扶養義務者となる者は、原則として、上記の第877条第1項により、『直系血族及び兄弟姉妹』です。この場合に、”父母の未成年の子に対する扶養義務”と、”成年の子の親や兄弟姉妹間の扶養義務”の程度が問題となりますが、学説・判例では以下の義務に分けて考えられています。
【生活保持義務】(父母の未成年の子に対する扶養義務)
自分の生活を保持するのと同程度の生活を保持させる義務
【生活扶助義務】(成年の子の親や兄弟姉妹間の扶養義務)
自分の生活を犠牲にしない限度で、被扶養者の最低限の生活扶助を行う義務

扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し

(扶養に関する協議又は審判の変更又は取消し)
第880条 扶養をすべき者若しくは扶養を受けるべき者の順序又は扶養の程度若しくは方法について協議又は審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その協議又は審判の変更又は取消しをすることができる。
《解説》
上記条文の通りです。

扶養請求権の処分の禁止

(扶養請求権の処分の禁止)
第881条 扶養を受ける権利は、処分することができない。
《解説》
『処分することができない』とは、具体的には、扶養を受ける権利を売買したり、借金の担保にしたりすることができないという意味です。

 
inserted by FC2 system