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実子(認知)

実子(認知)に関して、以下項目を解説しています。
・第一節 実子(認知)

第一節 実子(認知)

第一節 実子では、以下の分類に対する条文があります。
第772条〜第778条:嫡出子に関連する条文
第779条〜第788条:認知に関連する条文
第790条〜第791条:子の氏に関連する条文

認知に関連する条文は、以下の通りです。
第779条(認知)
第780条(認知能力)
第781条(認知の方式)
第782条(成年の子の認知)
第783条(胎児又は死亡した子の認知)
第784条(認知の効力)
第785条(認知の取消しの禁止)
第786条(認知に対する反対の事実の主張)
第787条(認知の訴え)
第788条(認知後の子の監護に関する事項の定め等)
第789条(準正)
備考)
結婚及び離婚において、特にポイントとなる条文を以下解説します。

認知

(認知)
第779条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。
《解説》
『嫡出でない子』のことを、”非嫡出子”といい、婚姻関係にない男女の間に生まれた子のことをいいます。”認知”とは、市町村役場での「認知届」、又は、裁判手続きによって、法律上の親子関係を生じさせるものです。また、上記条文では、『その父又は母』と規定されていますが、以下最高裁判例により、母の認知は原則として不要としています。
よって、”認知”をするか否かは、”父”の問題となります。
【最高裁判例(昭和37年4月27日)裁判要旨】
母と非嫡出子間の親子関係は、原則として、母の認知をまたず、分娩の事実により当然発生する。

認知能力

(認知能力)
第780条 認知をするには、父又は母が未成年者又は成年被後見人であるときであっても、その法定代理人の同意を要しない。
《解説》
未成年者であっても、法定代理人(親権者等)の同意を要せずに、単独で認知することができます。
ただし、認知するには”意思能力”が必要とされており、概ね7才から10才以上が”意思能力”があるとされています。

認知の方式

(認知の方式)
第781条 認知は、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによってする。
2 認知は、遺言によっても、することができる。
《解説》
”任意認知”の方式について規定した条文です。もう一つの方式として、裁判手続きを利用する”強制認知”があります。
”任意認知”では、市町村役場での「認知届」か、又は、遺言によってすることができます。

成年の子の認知

(成年の子の認知)
第782条 成年の子は、その承諾がなければ、これを認知することができない。
《解説》
父が子の養育はせずに、成人した子に扶養してもらうことを目的とした認知を防止するため、このような規定がされています。

胎児又は死亡した子の認知

(胎児又は死亡した子の認知)
第783条 父は、胎内に在る子でも、認知することができる。この場合においては、母の承諾を得なければならない。
2 父又は母は、死亡した子でも、その直系卑属があるときに限り、認知することができる。この場合において、その直系卑属が成年者であるときは、その承諾を得なければならない。
《解説》
第1項は、”胎児認知”の規定であり、市町村役場への「認知届」は、胎児の間でもすることができます。
第2項は、認知前に死亡した子に、孫やひ孫がいる場合に限って、認知することができる旨を定めています。この場合に認知する事で、認知した者が亡くなった後は、孫やひ孫が相続人となることができます。

認知の取消しの禁止

(認知の取消しの禁止)
第785条 認知をした父又は母は、その認知を取り消すことができない。
《解説》
上記の通りです。
民法の親族法の立法趣旨により、父子関係を早期に確立することに重点を置いているためです。

認知の訴え

(認知の訴え)
第787条 子、その直系卑属又はこれらの者の法定代理人は、認知の訴えを提起することができる。ただし、父又は母の死亡の日から三年を経過したときは、この限りでない。
《解説》
”強制認知”の方式について規定した条文です。
具体的には、原則として、家庭裁判所に調停の申立てをし、調停で合意に至らなかった場合に”認知の訴え”が提起できます。
また、上記条文の通り、期間の制限があります。

認知後の子の監護に関する事項の定め等

(認知後の子の監護に関する事項の定め等)
第788条 第766条の規定は、父が認知する場合について準用する。
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
第766条 父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、 子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
(第2項から第4項は省略します。この規定は、左記メニュー「離婚」にて解説しています。)
《解説》
父の認知により子は実子と扱われるため、父母との協議によって以下の事項を定める必要があります。
・子の監護者
・子との面会交流
・養育費

 
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